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1970年代の北半球中高緯度の雲量はエアロゾルにより増加していた~長期間のエアロゾルと雲の関係解明による、地球温暖化メカニズム研究の進展に期待~(低温科学研究所 准教授 飯塚芳徳)

2024年5月9日

北海道大学
名古屋大学
長崎大学

ポイント

●グリーンランドのアイスコアから過去の硫酸エアロゾル量と周辺海域の雲量の関係解明。
●人為的な硫黄排出最盛期である1970年代は硫酸エアロゾル量が多く、雲量も多かったことを示唆。
●雲量の増加は地球表層を冷却するため、地球温暖化のメカニズムの理解向上に期待。

概要

北海道大学大学院環境科学院修士課程の渡利晃久(研究当時)、北海道大学低温科学研究所の飯塚芳徳准教授、名古屋大学大学院環境学研究科の藤田耕史教授、名古屋大学宇宙地球環境研究所の増永浩彦准教授、長崎大学大学院総合生産科学研究科(水産?環境科学総合研究科)の河本和明教授らの研究グループは、グリーンランドのアイスコアに保存されている硫酸エアロゾルと衛星観測による周辺海域の雲量や雲粒の数密度に関係があることを発見し、人為硫黄酸化物の排出最盛期である1970年代は硫酸エアロゾルが雲粒を多く作ることにより雲量が増加していたことを解明しました。

硫酸エアロゾルは、地球の放射収支を考える上で重要な要素です。とくに極域では硫酸エアロゾルは凝結核となり雲を形成し、雲が地球表層の大気を冷却する役割があります。過去の硫酸エアロゾルの量はアイスコアから、雲の量は衛星観測から調べることができます。今回、研究グループは、グリーンランドのアイスコアに保存されている硫酸エアロゾルの量と、周辺海域の雲量との間に有意な正の相関があることを明らかにしました。しかしながら、衛星観測は1980年代から本格的に始まっており、1970年代よりも古い時代の雲量を直接調べることはできません。そこで本研究では、1980年代から2010年代のエアロゾル量と雲量の関係を用いて、1970年代の雲量を復元しました。その結果、人為硫黄酸化物の排出最盛期である1970年代は硫酸エアロゾルが雲粒を多く作り、雲量の増加が地球表面を寒冷化させていたことが示唆されました。過去のエアロゾルと雲の関係解明は地球温暖化のメカニズムの理解向上につながり、将来予測の精度を高めることが期待されます。

なお、本研究成果は、2024421日(日)公開のScientific Reports誌に掲載されました。

論文名:Long-term relationships between summer clouds and aerosols over mid-high latitudes of the Northern Hemisphere(北半球中高緯度における夏の雲とエアロゾルの長期的関係)
URL:https://doi.org/10.1038/s41598-024-59817-7

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グリーンランド周辺海域における1982年から2014年までの夏の硫酸エアロゾル濃度と雲量の相関分布図。
周辺海域に濃い赤で表示された硫酸エアロゾルと雲量の相関の高い海域がある。