2024年3月27日
ポイント
●ドロスをCO2化学吸収液で投入するCO2の共存下で水熱処理することで有機酸塩の製造に成功。
●ドロス中の金属アルミニウムのベーマイトへの転換とH2の製造に成功。
●ドロス中のハロゲンの除去と窒化アルミニウムのNH4+(窒素除去率90%以上)への転換に成功。
概要
北海道大学大学院工学研究院の坪内直人准教授と望月友貴特任助教の研究グループは、アルミニウム(Al)ドロスを二酸化炭素(CO2)化学吸収液として投入するCO2の共存下で水熱処理することで、ギ酸塩やシュウ酸塩を製造することに成功しました。
これらの有機酸塩製造に加え、ドロス中の金属Alと窒化Alのベーマイトへの転換、水素(H2)製造、アンモニウムイオン(NH4+)生成、ハロゲン除去の同時達成にも成功しております。Alドロスの無害化やリサイクルは広く研究されていますが、カーボンリサイクル型処理技術の開発に成功したのは世界で初めてです。
これまでも乾式法や水(H2O)を使う手法が検討されてきましたが、前者はCO2生成が避けられず、また、エネルギーの消費量も大きくなり、一方、後者は窒素除去率が低いため無害化とは言い難く、処理価格に見合っていないことが問題でした。また、従来法は、どれもカーボンリサイクルは全く考慮されておらず、CO2利用型処理技術の開発が望まれていました。
今後は、反応条件の最適化を推し進めるとともに、研究対象を他の産業からのダストやスラグにも拡大し、産業廃棄物の新しい処理技術となる装置開発に繋げます。
なお、本研究の成果は、2024年3月20日(水)、ACS Sustainable Chemistry & Engineering誌にオンライン掲載されました。
論文名:Co-processing method for the stabilization of aluminum dross and the production of valuable substrates via hydrothermal treatment(水熱処理を用いるアルミニウムドロスの無害化と有価物の製造のコプロセッシング)
URL:https://doi.org/10.1021/acssuschemeng.4c00116
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