2021年7月2日
ポイント
●新型コロナとインフルエンザの共感染は重症化しやすく新たな脅威となる。
●昨年度のインフルエンザ罹患数は例年の約2,000分の1。
●新型コロナとインフルエンザの共感染を防ぐためにワクチン接種に加えてマスク着用が重要。
概要
北海道大学遺伝子病制御研究所癌生物分野の野口昌幸名誉教授らの研究グループは,新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの共感染を予防するためには,マスクが重要な役割を果たすと提言しました。
2020年の秋ころ,新型コロナウイルスとインフルエンザは初期症状が似ていることから,その鑑別はもとより,重篤な共感染による社会への影響が大変危惧されていました。しかし実際には,日本においては2020/2021年冬のインフルエンザ罹患数は劇的に減少し,懸念されていた新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの共感染もごく少数の発症でした。
研究グループは,厚生労働省と国立感染研究所の発表する日本のインフルエンザワクチン接種とインフルエンザ罹患数に関する統計データを解析しました。その結果,2020/2021年シーズンにおいて,インフルエンザワクチンの接種数はここ10年来ほとんど変わっていないにもかかわらず,インフルエンザ罹患数は例年の2,000分の1に減っていました。この主たる要因として,日本人の生活スタイルに古くから取り込まれているマスクの着用が大きく寄与していると考え,報告しました。
新型コロナとインフルエンザの共感染を予防するためにも,ワクチン接種に加えて,日本の古くからの習慣であるマスク着用という公衆衛生の基本を心がけることが重要です。
なお,本研究成果は,2021年7月1日(木)公開のEuropean Journal of Internal Medicine誌にオンライン掲載されました。
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