文部科学省「令和6年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰」受賞者からのコメント

4月9日(火)、文部科学省より、科学技術に関する研究開発や理解増進等において顕著な成果を収めた方を表彰する「令和6年度文部科学大臣表彰」の受賞者が発表され、本学から「科学技術賞(研究部門)」4名、「若手科学者賞」3名、「研究支援賞」1名の計8名が受賞しました。表彰式は17日(水)12時10分から文部科学省で執り行われ、出席者に表彰状が授与されました。

文部科学大臣表彰表彰式の会場にて。左から元本学工学研究院 石田洋平 准教授(4月から九州大学に移籍)、工学研究院 真栄城正寿 准教授、低温科学研究所 木村勇気 教授、情報科学研究院 長谷山美紀 教授、触媒化学研究所 福岡 淳 特任教授、工学研究院 永田晴紀 教授、化学反応創成拠点 原渕 祐 特任准教授
文部科学大臣表彰表彰式の会場にて。左から元本学工学研究院(4月から九州大学に移籍)の石田洋平 准教授、工学研究院 真栄城正寿 准教授、低温科学研究所 木村勇気 教授、情報科学研究院 長谷山美紀 教授、触媒科学研究所 福岡 淳 特任教授、工学研究院 永田晴紀 教授、化学反応創成拠点 原渕 祐 特任准教授

本学の受賞者の多くからコメントが届きましたので、ご紹介します。

科学技術賞(研究部門)

木村 勇気(きむら ゆうき) 低温科学研究所 教授

木村 勇気(きむら ゆうき) 低温科学研究所 教授

受賞業績:その場観察実験による結晶核生成の研究

コメント:
この度、大変光栄なことに文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)という名誉ある賞を頂くことになりました。これも、日ごろからの共同研究者や技術職員、事務職員の方々のサポートあってのことで、大変感謝しています。この場を借りて心より御礼申し上げます。私は、原子や分子が集合してナノ粒子を形成する様子を、様々な手法でその場観察することで、そのプロセスを解明してきました。実験室に設置する独自の"その場"観察実験装置だけでなく、新規の顕微鏡法の構築やロケットによる微小重力実験など、日々多くの方にご協力頂きながら、アイデアを形にしています。これからも益々多くの仲間たちと、まだ見ぬ世界を開拓していく研究を楽しみたいと思います。

研究室ウェブサイト:
低温科学研究所 低温ナノ物質科学

永田 晴紀(ながた はるのり) 工学研究院 教授

永田 晴紀(ながた はるのり) 工学研究院 教授

受賞業績:ハイブリッドロケットの実用化技術に関する研究

コメント:
この度は大変名誉ある賞をいただくことになり、光栄に思います。受賞対象である「ハイブリッドロケットの実用化技術に関する研究」は、1996年に当研究室(宇宙環境システム工学研究室)が創設されて以来一貫して取り組んできた研究テーマです。2004年には赤平市の企業である(株)植松電機との連携により実用化研究開発が本格化し、研究成果は(株)Mjolnir (ミョルニア)SpaceWorksとLetara(レタラ)(株)という2社のベンチャー企業により社会実装が間近です。本受賞は、歴代の卒業生や(株)植松電機の皆様を始めとして、本研究に取り組んで来られた皆様の成果をまとめて評価頂いたもので、多くのご支援も頂きました。心よりお礼申し上げます。

研究室ウェブサイト:
工学研究院 宇宙環境システム工学研究室

長谷山 美紀(はせやま みき) 副学長?情報科学研究院 教授

長谷山 美紀(はせやま みき) 副学長?情報科学研究院 教授

受賞業績:異種メディア融合解析理論とその応用に関する研究

コメント:
この度は、文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)を賜ることになり、大変光栄に存じます。今回受賞対象となった「異種メディア融合解析理論とその応用に関する研究」では、複数の異なる種類の信号を協調的かつ適応的に用いることが可能なマルチモーダル解析の基礎理論を構築しました。さらに、医療データや社会インフラデータなど、多岐にわたる異分野のデータへ適用対象を拡張し、実社会応用に発展させて参りました。本研究で構築した理論は、現在急速に進展する生成AI等の先端技術の基盤としても活用されることが期待されています。 この受賞を機に改めて、ご支援頂いた共同研究者の皆様、技術の実用化に際し産官学の垣根を越えてご協力頂いた皆様、そして、この研究に関わって頂いた全ての皆様に心より感謝申し上げます。これを励みに、私が専門とする情報科学分野の発展に貢献できるよう、より一層精進して参ります。

研究室ウェブサイト:
情報科学院 メディアダイナミクス研究室

福岡 淳(ふくおか あつし) 名誉教授?触媒科学研究所 特任教授

福岡 淳(ふくおか あつし) 名誉教授?触媒科学研究所 特任教授

受賞業績:固体触媒によるセルロース系バイオマスの解重合の研究

コメント:
この度は名誉ある賞をいただくことになり大変光栄に存じます。受賞対象となった研究は、再生可能なバイオマスであるセルロースやキチンを触媒で分解し、燃料や化学品をつくることを目指したものです。この研究はゼロから出発したものですが、幸いにも世界初の固体触媒によるセルロース解重合法を発見し、この分野を開拓することができました。また、解重合で得られるオリゴ糖はバイオスティミュラント(植物や土壌の活性を高める物質など)として実用化されました。このように基礎研究から応用展開まで実現することができたのは、学生および共同研究者の皆様のご支援の賜物と感謝しております。今後も低炭素化のための触媒研究を進める所存です。引き続きご支援をいただきますようお願い申し上げます。

研究室ウェブサイト:
触媒科学研究所 研究開発部門

若手科学者賞

原渕 祐(はらぶち ゆう) 創成研究機構 化学反応創成研究拠点 特任准教授

原渕 祐(はらぶち ゆう) 創成研究機構 化学反応創成研究拠点 特任准教授

受賞業績:分子の光機能を理解する量子化学計算技術の構築に関する研究

コメント:
この度、文部科学大臣表彰若手科学者賞をいただき大変光栄に思います。今回対象となった研究は、コンピュータを用いて分子の光機能を理解するための量子化学計算技術の構築に関するものであり、私が北海道大学理学部化学科に在学中から継続して取り組んでいる研究です。学生時代からご指導いただいた武次徹也先生、前田理先生をはじめ多くの先生方、国内外の共同研究者の皆様、そして、プロジェクトを通じて研究を支えてくださる皆様に心より感謝を申し上げます。本受賞を励みに、量子化学の可能性を探究し、基礎学問の発展および材料や反応の開発を通じて社会に貢献できるよう努力して参ります。今後もご支援を賜りますようお願い申し上げます。

研究室ウェブサイト:
理論科学研究室

真栄城 正寿(まえき まさとし) 工学研究院 准教授

真栄城 正寿(まえき まさとし) 工学研究院 准教授

受賞業績:機能化マイクロデバイスの開発と創薬への応用に関する研究

コメント:
この度は、文部科学大臣表彰若手科学者賞という栄誉ある賞を授与いただき、大変光栄に存じます。本賞の受賞業績である「機能化マイクロデバイスの開発と創薬への応用に関する研究」は、学生時代からの研究テーマですが、学位取得後に北海道大学に異動して、飛躍的に発展させることができました。これは、渡慶次学教授をはじめとした研究室スタッフ、学生および実験補助員の皆様、共同研究でご指導いただいた先生方、そして素晴らしい研究環境を整備していただいた北海道大学関係者の皆様のご支援の賜物です。皆様のご支援に深く感謝申し上げます。今回の受賞を励みに、科学への貢献と人材育成、研究成果の社会実装に向けて、より一層邁進したいと考えています。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。

研究室ウェブサイト:
工学研究院 マイクロシステム化学研究室

研究支援賞

阿保 憲史(あぼ のりふみ)アイソトープ総合センター 技術専門職員

阿保 憲史(あぼ のりふみ)アイソトープ総合センター 技術専門職員

受賞業績:RIの利用促進および安全意識醸成への包括的な貢献

コメント:
この度はこのような栄誉ある賞を授与いただき大変光栄に存じます。受賞対象となった業績は、放射性核種(RI)の貯留管理システムの開発によるRI化合物研究への貢献、コロナ禍における遠隔教育を充実させるためのCG合成を駆使したRI教材の開発、ならびにRI法改正に伴う放射線測定器の管理法の確立など、RIの研究?教育?管理への包括的な貢献となります。これらの業績は本学R&Tプロジェクトをはじめ、多くの方々に支えられて実を結んだものであり、この場をお借りして感謝を申し上げるとともに、受賞を後押ししてくださった方々に心より御礼申し上げます。RIは医学、理学、工学、薬学などあらゆる分野で利用されており、我々は多大な恩恵を享受していますが、一方で放射線は視認できないことや核種によって個性があるなど、取扱い方法にはコツが必要です。こうした複雑なバランスへの理解を支援できる人材であり続けたいと思います。

研究室ウェブサイト:
北大技術者図鑑

皆さん、改めましてこのたびの受賞、おめでとうございます。