総長挨拶

「公共財」としての北海道大学に向けて
―ご寄附のご報告と御礼―

総長
北海道大学総長 寳金 清博

平素、北大フロンティア基金に対しまして、ご理解とご協力を賜り、深く御礼申し上げます。

皆様のおかげで、北大フロンティア基金は、令和3年度も総額4億円余りに達し、平成18年度の創設からこれまでの累計で、約58億円に達しました。心から御礼申し上げます。

特に令和3年度は、メディアでも注目された歴史的建物を未来へつなぐ「北海道ワイン教育研究センター」のための特定資金の寄附枠、「エルムの森プロジェクト」に対して、多くのご支援をいただいたことに感謝申し上げます。事業の規模が大きく、私たちの努力が足りないところもあり、まだ目標額には遠いところですが、今後もご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

大学は現在、大きな改革の時期にあります。その最大の理由は、国際競争の中で日本の研究力が低下し続けている点です。研究力低下の理由は様々ありますが、最大の理由として、財務の脆弱性が指摘されています。世界の研究の場で競争できる人材を生み出す基盤強化が必須ですが、この数十年余り、日本の大学の研究基盤への公的投資は伸び悩んできました。

この財務強化に関しては、国も様々な施策を展開しており、研究基盤の急速な強化を目指しています。これに加えて、大学の自主的な財務基盤の強化の大きな柱の一つが、寄附金による基金形成です。

ただ、私は、皆様と大学の関係で最も大切なことは、私たちの大学の社会的使命を理解していただき、そのために必要な事業に共感いただくことだと考えています。特に、国立大学法人は、一定程度の国の支援を受けている「公共財」です。卒業生、関係者ばかりでなく、地域の住民、企業などから、知の拠点として、無くてはならない存在であることが前提となっています。

2026年には、北海道大学は創基150周年を迎えます。この記念すべきマイルストーンの年に向けて、更に、皆様の共感を得らえるような、「公共財」としての大学の活動を拡げて参ります。今後とも、本学への変わらぬご支援を、心よりお願い申し上げます。