【在学生インタビュー「同窓異曲」】


北海道大学オープンイノベーションハブ エンレイソウにて

北村 もあな
KITAMURA Moana
|水産科学院修士課程1年|



ウキクサでつかむ地球の未来

 地球温暖化の課題解決に挑む若き挑戦者、北村もあなさん。水産科学院修士課程1年に在籍しながら、スタートアップ企業「Floatmeal株式会社」の代表を務め、水生植物の一種「ウキクサ」を食料として活用することで、世界の食料安全や気候変動といった問題解決に取り組んでいる。北大での学生生活やFloatmealとの出会い、これからの目標をお話しいただいた。


―北村さんが、北大の水産学部を目指した理由を教えてください。

 私は、ニュージーランドで生まれ、小学2年からはオーストラリアで過ごし、中学2年の時に帰国しました。水産学部を目指したのは、海や水が好きなのと、オーストラリアでの経験が影響しています。グレートバリアリーフを家族で旅行した際、たまたま現地の大学生が海に関する研究内容を見せてくれて、海洋の研究に興味を持ちました。それで、進路を選ぶ際は水産系の学部を志望していました。北大を選んだのは、北海道の自然の豊かさがオーストラリアと重なる部分があったのと、北大の水産学部には練習船もあって楽しそうと感じたからです。


―入学後は、どのようなことに力を入れていましたか?

 一番は新渡戸カレッジです。新渡戸カレッジでは有意義なプログラムに出会えました。中でも「セルフキャリア発展ゼミ」は印象的です。私はここで、「時間が許す限り様々なことに挑戦する」と自分の目標を宣言したことが、その先の挑戦につながりました。2年と3年の時には、地球温暖化問題を扱うゼミにチューターとして参加し、特に3年の時は、はこだて国際科学祭への参加を目指して毎週日曜日に徹夜で準備するなど大いに鍛えられました。4年生の時はスタートアップのゼミでチューターを務めました。


―なぜFloatmealの活動に参加するようになったのでしょうか?

 「Hult Prize」という国際的なビジネスコンテストの学内予選会のボランティアに参加したのがきっかけです。そのときにウキクサをテーマにしたチームが優勝したのですが、それが今のFloatmealの原型です。後日、偶然そのチームと話す機会があり、日本語話者のサポーターを必要としていることを知りました。新渡戸カレッジで地球温暖化問題に触れ、私もこのチームに興味があったので、最初は気軽な気持ちで参加を決めました。活動するうちに、自分の行動で世界が抱える問題の解決策を提示できる魅力に引き込まれました。


――学生の立場で起業する魅力とはなんでしょう?

 はじめは、会社を設立するつもりはありませんでしたが、活動を進めていくうちに大学や社会人の方々と知財や商品の提供について対等に交渉したり、投資家の方々に自分たちの本気度を示す必要性が出てきました。その方法として、最も適切だったのが起業という選択でした。学生という立場で会社を設立して感じるのは、快く協力してくださる方の多さです。税理士の先生をはじめ、一般企業の方に設備などを無償で利用させていただくこともあります。学生のうちに起業する人が少ないからこそ、注目してもらえて、様々なサポートが得られていると感じています。これは、学生起業ならではのメリットだと思います。


ウキクサを手にするFloatmeal株式会社の
メンバーと北村さん          


―これからの目標をお聞かせください。

 地球温暖化というネガティブな現象を、ポジティブな方法で解決したいです。そのうえで、みんなに「地球温暖化を解決したい」と思ってもらえたらいいなと考えています。また、地球温暖化の解決にあたって、自分が決断できたり、わくわくできるようなポジションに居続けたいです。


―最後に、後輩へメッセージをお願いします。

 面白そうと感じたら、自分のできる範囲で全力で参加してみてほしいです。数をこなすことで自分に合ったものに出会えるかもしれません。一方で、やめることも大切。私自身、合わないと感じたことはきっぱりやめることで、やりたいことに焦点を当てることができました。様々な取捨選択があって、今の自分があります。まずは気楽に始めてみて、自分が感じる”面白い“を大切にしてください。

PROFILE

1999年ニュージーランド生まれ。2019年北海道大学水産学部へ進学し、現在は大学院水産科学院修士課程1年に在籍。2023年5月、地球温暖化と食料問題に挑むスタートアップ企業「Floatmeal株式会社」を設立。同社は、OnlabHOKKAIDO 第6期 Demo Dayにて最優秀賞・オーディエンス賞をダブル受賞した。



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